こんにちは、のぶもんです。
台北市内には今でも、日本統治時代に建てられた日本建築がかなり残っているのですが、老朽化が著しく、少しずつ修復が進められています。
そのうちの一つが「旧松山療養所所長宿舎」です。
この療養所の創建は1914年。当初は錫口養生院と呼ばれていましたが、1925年に松山療養所に改名。台湾で最初にできた結核病棟として、当地の医療に尽くすことになります。
そして、1940年に、所長宿舎が完成。病棟その他の建物はすでに取り壊されましたが、この所長宿舎は古蹟に指定され、今年になって一般に公開されるようになりました。
玄関脇の部屋に、歴史建築に関する説明が展示されていました。こちらは洋間だったようですね。
窓が面白いですね。六角形のすりガラス窓なんて、日本でもほとんどないですよね。
角の出窓は日本風。当時は、東向きの部屋に朝日がたっぷり入るのを楽しんだのでしょうね。
次に、玄関から正面の部屋に入りましょう。
こちらは、施設を管理する団体が経営する飲食施設「靜心苑」になっています。
室内は流石に板張りになっていますが、落ち着いたスペースになっていて静かにお茶を飲むことができます。
この日注文したのは、予算の都合でボトル入りのお茶とチーズケーキ。安い飲み物なら何でもいいやと思って頼んだのですが、冷茶が案外おいしい上、ボトルがちょうど使いやすい大きさ。なんと、今でも普段、お茶や水を入れて持ち歩くのに使っています。
室内の置物(?)も興味深いですね。すべてが宿舎にあったものかどうかは分からないのですが、一つ一つのアイテムから、昔の台湾でどんなものが使われていたか、コレクションされていたかが垣間見ることができますね。
これは、木製の食器棚。ガラスを使わず、格子上にして風通しを良くしているのが面白いですね。高温多湿な台湾ならではの工夫だったのかもしれません。
残念ながら飲食スペースからは外が見えないのですが、僕の大好きな縁側がバッチリありました。
向かって右側に、先程の飲食空間があります。
外に出て、建物を見てみましょう。非常にきれいに修復されているのが分かります。
裏から見た宿舎。周囲は高層マンションが次々建てられている新しい開発地域です。
実は宿舎がある昆陽駅付近は、少し歩くとすぐに街の外れに出てしまいます。
松山療養所は、もともと結核療養のための施設ですから、人家が少なく、空気がきれいな場所に建てられたわけです。
ちなみに「松山」區はもう少し西側、台北の中心に近い場所を指し、療養所は南港區に位置します。かつては、台北東部の広いエリアに「松山」の名前を冠したのでしょうか。これは、今後の探索テーマになりそうですね。
宿舎を訪れたときに気づいたのですが、向かい側の日本家屋も修復工事が進められていました。こちらは、「松山療養所宿舎」とのこと。
早ければ来年夏にお目見えする予定だそうですが、そうなれば二棟の日本建築を堪能することができるようになりますね。
お店の方とも少し話をしたのですが、こういった施設の運営・経営はとても難しいそうです。文化財としての制約を守った上で、カフェや商店を営むことになるので、長く続けるのが大変なようですね。
実際、調理スペースは日本家屋の中に設置することが厳しく禁じられているとか。そういえば、敷地内のコンクリート造りの離れのような場所で調理をしていました。
日本からの訪問が可能になった暁には、こういった施設にもぜひ訪れていただけるとありがたいです。幸い、松山療養所は、MRT昆陽駅から徒歩3分くらいでいけるので、台北観光の息抜きで足を伸ばしてもらうこともできそうです。
【施設情報】
「松山療養所所長宿舎(靜心苑)」
住所:台北市南港區昆陽街164號
開館時間:11:00~20:00(月曜定休)