のぶもん台湾さんぽ

台湾のあちこちに出かけたときの旅日記をつらつらと書いています。マイナーな街の紹介が結構多いです。

台湾さんぽ51〜基隆の日本家屋を訪れてみた・夜市だけではない基隆の魅力を求めて

こんにちは、のぶもんです。

 

最近、基隆に行く機会が増えてきました。と言っても、仕事絡みではなく、純粋に遊びです。

 

以前は駅前の夜市くらいしか行かなかったのですが、実は基隆にも貴重な日本家屋が残っており、さらに一昔前の雰囲気を残すエリアが結構あるんです。

 

12月2日、修復が終わり限定公開される施設があると聞き、喜び勇んで基隆まで行ってきました。


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まずは高速バスで基隆入り。相変わらず天気は悪いですね(^_^;)


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この日は豪華客船が停泊していました。ここで基隆市営の路線バスに乗り換え、中正區公所(台北市ではありません)まで移動します。


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現地に到着です。独特な看板ができていましたが、今回の企画展の象徴のようです。


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小高い場所に古い民家があり、そこから藍染め(?)の垂れ幕がかかっています。


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この建物は、「基隆要塞司令官邸」と呼ばれていますが、日本統治時代には「流水偉助」という、基隆初の民間バス会社を経営していた人物の住宅だったそうです。

 

当時は羽振りが良かったのでしょうか。かなり凝った作りの住宅になっています。


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中に入ると、庭を囲んで落ち着いた感じの廊下が続きます。


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実はここで、12月13日まで「浪花天」という基隆の歴史をビジュアル的に紐解くアート作品展が開かれていました。

 

各部屋では、工夫をこらした展示が見られます。こちらの部屋は洋間でした。ハイカラな雰囲気を楽しめます。


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部屋を見透かすことができる洒落た窓枠。こういう仕掛けがあればあるほど、住宅の迷宮感が強まり、楽しくなってきます。


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さて、隣の広い和室にやって来ました。こちらは、二間ぶち抜きで室内を薄暗くしています。


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ここでは、何本もの布地のようなものを垂らし、そこに基隆の歴史を辿った映像を映し出して行きます。

 

これがなかなか面白い!歴史絵巻を影絵で見るような感覚で映像を楽しむことができます。期間限定の公開作品なのがもったいないくらいです。


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廊下を抜けて、別の部屋へ。日本家屋の廊下・縁側フェチとしてはたまらない眺めです(^^)


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こちらの小ぶりな和室も何やら独特の趣です。ここでは、壁に様々な映像を映して、基隆の歴史物語を解説してくれます。中国語がある程度分かればいつまでも楽しめる感じです。


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次の部屋に行くと、一部がガラス張りになっています。これは、建設当時の基礎構造や通常は見られない部分の状態を説明するために作られる部分で、最近修復される日本家屋ではよく見られるものです。


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次の部屋では、垂れ幕がたくさん!これらにも、基隆の様々な歴史が記されています。この展示方法は、古い建物へのダメージを少なくすることもできそうで、これから増えていくかもしれません。


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こちらは、蛇腹になった絵巻物が宙に浮いて見えますね!どれもテーマは同じなのですが、何を重点的に取り上げるか、どのように見せるか、の工夫が楽しいです。


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残念ながら、今年になってからこの施設は一般公開されていません。イベント開催時にはまた見学できると思うのですが、街歩き派としては、通年での一般公開を是非お願いしたいですね。(何なら50元くらいの入場料を払っても構いません)

 

【施設情報】

「基隆要塞司令官邸」

住所:基隆市中正區中正路230號

開館時間:現在、団体予約見学のみ受付

さて、こちらの宿舎のすぐ近くに、もう一軒の日本家屋があります。それが「基隆要塞司令部校官眷舎」です。

 
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こちらも落ち着いた日本家屋。もともとは日本統治時代に税務署の鑑定として建てられ、その後さまざまな用途に使われたようです。

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こちらでも、企画展が開催中でした。テーマは「時間旅程」。こちらも基隆の歴史をいろいろな形で表現することに挑んだ作品展でした。

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施設の中に入ると、日本家屋の趣を存分に感じることができます。かつての写真を見ると、かなり荒れ果てていたようなので、十分にお金をかけてしっかりと修復したことが分かります。

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こちらは、壁一面に流れるような映像が次々に映し出される部屋。日本広間なのに、時空を自由に飛び回っているような気分になれました。

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この家屋の特徴は、採光に力を入れた空間があること。かつての伝統的な日本家屋は太陽の光をたっぷり取り入れるという感じではありませんでしたが、ここは部分的な改造を施して、とても明るい部屋になっています。もとは台所や土間だったようですね。

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レンガの部分は、かつての排気口。ここから煙を外に出していました。

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外から見ると、こんなふうにバルコニーのようになっています。もちろんこの部分はあとから作ったものですが、本体の日本家屋の前面にあっても違和感がほとんどないですね。


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隣の敷地は、家屋はすでに撤去されていますが、土台だけが残されています。そこに現代的なオブジェ。これはこれで面白いですね。


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たった2軒の日本家屋訪問でしたが、想像以上の面白さでした。2軒目については、一般公開が続けられています。

 

まずは、こちらだけでもじっくり見学してはいかがでしょうか。コロナが収まる頃には、2軒とも自由に見られるようになるといいですね。

 

 

【施設情報】

「基隆要塞司令部校官眷舎」

住所:基隆市中正區中正路113號

開館時間:9:00~12:00 14:00~17:00