のぶもん台湾さんぽ

台湾のあちこちに出かけたときの旅日記をつらつらと書いています。マイナーな街の紹介が結構多いです。

はじめての町・彰化縣和美を歩く

3月26日。台中の大里を後にして、お隣彰化縣の和美という町に移動します。ここは自分にとって、まだ訪れたことがない未知の町。どんな町なのか、とても楽しみです。

和美の歴史シンボル・道東書院



1.彰化縣和美鎮とは
 和美は、彰化市から北西に向かって約10km離れた地方都市。人口は9万人弱。地方都市にしては人口がかなり多いですね。その昔は、平埔族のバブザ族が住んでいましたが、後に漢人が流入。漳州と泉州からの移民が多く、両者はたびたび衝突していました。そこで「漳泉和睦相處、創建美好地方(漳州と泉州は仲良く調和して、素晴らしい場所を作る)」という意味を込めて「和美」という名前になったそうです。伝統的に紡績産業が盛んで、雨傘の生産も多いようです。

2.和美の見どころ
1)道東書院
 台湾各地に、今も一定数残る「書院」。これは本屋さんではなく、清代まで続いた科挙に向けた勉強をするための学習施設のようなものです。和美に残るのは「道東書院」といい、清代末期に建設された建物が今でも残されています。戦後は荒れ果ててしまった時期もありますが、のちに和美鎮が修復を開始し、1985年には国定古跡に指定されるようになりました。

風格ある道東書院の門



 観光地があまりない和美の町では、これまで道東書院がほぼ唯一のめぼしい観光名所でした。歴史を感じさせる門をくぐりに抜けると、そこには手前に池を配した正面の建物が見えてきます。これはなかなか素敵ですね。

池の水に映える道東書院の建物



 書院の規模は他の著名な書院に比べると少し小ぶりですが、それでも地元のエリート養成機関としての矜持を感じさせるりっぱんた建物だと思います。少し気になったのは、建物のあちこちで塗装がはがれ、木が傷んでいる部分があったこと。日曜日にもかかわらず、管理スタッフやガイドさんがいなくて、ただ自由参観ができるだけになっているのももったいなかったです。イベント等があるときは誰かが配置されるのかもしれませんが・・・。

台湾の書院でよく見かける円形の通路



【施設情報】
「道東書院」
住所:彰化縣和美鎮和卿路101號 
開館時間:8:00~17:00(月曜定休)

2)和美の新しい歴史観光スポット~和美街長宿舎
 和美の中心部に、最近新しい歴史スポットが誕生しました。それが「和美街長宿舎」です。日本統治時代に建てられた和美庄(荘)長(現在の市長・町長にあたる)の官舎でしたが、その後さまざまな用途に使われ、後に歴史建築に指定されました。2020年7月には修復作業も終わり、そのあと一般公開に至っています。

風格ある和美街長宿舎の正面

宿舎の内部は、いくつかの部屋に分かれており、入って正面の三和土の部屋はコーヒーやアイス、雑貨なども販売コーナーになっています。手が空いていれば、お店の方(この施設を運営している会社の人だと思います)が宿舎の概要を説明してくれます。

日本時代の洋風建築の雰囲気を残る空間

畳の部屋に上がってみましょう。きれいに整備されていますが、日本の木造家屋の雰囲気がよく残っています。押し入れとふすまは、作品展示コーナーになっています。台湾には押し入れという習慣がないので、ここはいろいろな用途に使える空きスペースのように映るようですね。

おしゃれで上品なつくりになった畳の部屋

宿舎正面手前の左手には、防空洞の跡が残っています。戦時中、台湾各地は米軍の空襲を受けており、都市部でなくとも、このような防空洞を作るところは結構多かったようですね。

やや大規模な防空洞の跡




宿舎自体も興味深かったのですが、実は一番目を引いたのが、宿舎前に4台止まっていた移動販売車です。日曜日に歴史建築の周辺で移動販売車を見かけることはありますが、このような新しくて小規模な施設の前に4台もあるのには驚きました。

窯でピザを焼くピザ屋さん

惣菜パンのお店

鯛焼き(?)の屋台とスイーツの屋台





【施設情報】
「和美街長宿舎」
住所:彰化縣和美鎮彰美路五段391號508
開館時間:10:00~20:00(月曜定休)


3.和美で出会った魅力的な食事やカフェ
1)市場メシをいただく

和美のローカル食はどんな感じでしょうか。町の中心にある市場を歩いてみると、市場の中にディープな雰囲気の屋台が何軒かありました。昼時に行ったのですが、次々に営業終了。かろうじてまだ開いていた「名峯魯肉飯」にお邪魔します。

市場の中にある名峯魯肉飯

閉店間際のお店で注文したのは魯肉飯と燙青菜。魯肉飯が、台湾北部と異なり、ごろごろした角煮のようなお肉が出てきます。これを見ると、台湾中部に来たなと実感しますね。

素朴だけととてもおいしい市場メシ



【店舗情報】
「名峯魯肉飯」
住所:彰化縣和美鎮中山路43號
営業時間:5:40~12:40(無休)

2)和美の町にもクオリティの高いカフェがあった

台湾は今、空前のカフェブーム!かなり小さな町にもおしゃれなカフェができて、台湾旅行でカフェに困ることは少なくなってきました。和美の町にも素敵なカフェがありました。それが「屋子咖啡 Home kapi」です。

レトロな雰囲気も感じさせる「屋子咖啡」の店内

お店に入ると、店内は清潔でおしゃれな感じ。その一方で、レトロな雰囲気も醸し出しており、なかなか良い感じです。早速、手沖咖啡を注文します。最近のカフェの見どころは、お店ごとに使うコーヒーカップ類がかなり違うこと。このお店のようなちょっと懐かしい感じのガラスのカップで出すことも増えてきました。市場でお昼を食べてすぐだったので、スイーツは遠慮してしまいましたが、ちらっと見る限りではかなりおいしそう。次回はお腹に余裕を持たせて、スイーツにもトライしたいですね。

おいしい手沖咖啡でしばらくリラックス





【店舗情報】
「屋子咖啡 Home kapi」
住所:彰化縣和美鎮彰美路六段36號
営業時間:10:00~17:00(月曜定休)
 

さいごに~和美へのアクセス

 和美は鉄道こそ通っていませんが、彰化からバスが1時間に1~2本程度出ていて、比較的便利です。彰化縣で鉄道が通っていない町の中では、一番アクセスしやすいですよ。高鐵経由なら、高鐵台中から台鐵で彰化へ行き、バスに乗り換えても1時間弱。彰化市の観光の合間に、和美に足を延ばしても良いと思います。