のぶもん台湾さんぽ

台湾のあちこちに出かけたときの旅日記をつらつらと書いています。マイナーな街の紹介が結構多いです。

台中よりも先輩の街・大里の旧市街を歩く

1.大里に行ってみよう!

大里の人々の信仰を集める福興宮

 台中市に大里という町があります。行政上は台中市大里區に所属し、人口は約21万人。最近、観光地としても人気上昇中の台中の中では、あまり話題になりにくい町です。この町を訪れたという方はかなり少ないのではないでしょうか。でも、旧市街の老街付近を歩いてみると、なかなか味のある町だと気づきます。今回は、大里のレトロ探しに行ってみるとしましょう。

2.大里は歴史ある町!

 大里は今でこそ、台中市の郊外住宅地としての機能が強くなっていますが、歴史を見るとむしろ大里のほうが先輩なんです。大里はかつて、大里杙という名前でした。その由来は、この地に長らく定着していた平埔族が名付けた地名に近い漢字をあてたもの。「杙」は、いかだ(筏)の意味。大里溪という川の沿岸に発達した大里は、水運の便が良いことから、台中盆地でもいち早く開発が進んだところです。清代は、水運が便利なエリアに町ができることが多く、大里もその一つだったんですね。その後、日本統治時代になって「杙」の文字を外して大里になり、今でも「大里」の名前が使われています。

大里老街の入口に鎮座する倒栽榕


大里の歴史が大きく転換するのは、清代末期のこと。劉銘傳の指導がきっかけで台中市の建設がはじまり、日本統治時代には台湾中部の中心都市として発展が始まります。この時代になると水運の重要性が低くなり、大里は停滞し始め、地方中心としての地位を台中に譲ります。

そんな大里ですが、近年は台中市のベッドタウンとして再び成長を遂げます。終戦時には約1万3千人だった人口は、今では約21万人にまで膨れ上がり、昔の大里の面影は、老街のある一角に残るだけとなりました。今回は、この老街のあるエリアを散歩してみようと思います。

2.老街を歩いてみる

旧市街の中心に位置する大里老街。とても短い老街ですが、路地の両側には昔ながらの建物や商店が軒を連ね、かつての清代の繁栄ぶりをほんの少し感じることができます。同じ老街でも、お隣彰化縣の鹿港などとは違い、ほとんど観光地化されていません。その分、台湾の地方都市における普通の暮らしぶりが垣間見えます。

大里老街。長さは短いが朝は活気がある


3.老街のローカルグルメに挑戦!

大里老街には、何軒か小さな食堂があります。店名もはっきり分からない古い食堂では、台湾のさまざまなローカル料理が食べられます。

以前訪れたときは、本当に名前がないお店に入りました。こちらで食べたのは、肉羹麵。55元ですがかなりのボリュームでびっくりしました。

ボリュームたっぷりの肉羹麵

今回は、googlemapにかろうじて店名が載っている小吃「老街麵攤」に入りました。ここでは、南投意麵と白菜滷を頂きました。こちらはそこまで量が多くないので、2品で65元くらいだったと思います。

安くておいしい、南投意麵と白菜滷


何となく、地元の人ではない感じのお客さんも混じっていたので、街歩きの観光に来る人がそれなりにいるかも知れませんね。

【店舗情報】
「老街麵攤」
住所:台中市大里區大里街80號
営業時間:6:30~13:00(月曜定休)
※名前のないお店は、「老街麵攤」のすぐ近くにあります

4.日本統治時代の歴史を今に伝える歴史建築~旧大里杙保正集会所

大里には、日本統治時代の面影を残す建物があります。それが、「大里杙文化館」です。ここはもともと、「大里杙保正集会所」という公共施設で、1929年に大里庄役場の建物と同時期に建設されました。これが今では、台中市の歴史建築に指定され、地域の紹介や芸術展の会場としての文化施設に生まれ変わったというわけです。

街路樹に正面を少し隠された大里杙文化館


前回は、コロナの影響か、中に入ることができなかったのですが、今回はようやく内部の見学もできました。建物は小ぶりで、中央に大里の歴史を紹介するパネルが’いくつか設置されています。壁の部分は、作品展示スペースになっていて、地域の芸術家の作品が展示されています。

館内はきれいに整備されている


【施設情報】
「大里杙文化館」
住所:台中市大里區新興路2號
開館時間:9:00~12:00、14:00~17:00(月曜閉館)

5.旧市街の片隅で活動する文化グループ~日常生活

 大里福興宮の目の前にある小さな建物。そこでさまざまな文化活動をしているのが「日常Life手屋」です。以前、大里を訪れたとき、カフェがあるらしいとの情報で、ちょっこと覗いてみたのですが、2人のオーナーさんが、カフェと豆花のお店をそれぞれ営業していました。

日常Life手屋


といっても本業は文化活動教室のようで、現在は、営業日は少し限られているようです。書道教室や絵画教室が中心なのかな。今回、大里を訪れたときは残念ながらお店は閉まっていたので、次回、先に連絡を取って、またお店の方とのんびり話をしたいものです。

前回訪問時に頂いた小豆載せ豆花、すごいボリュームだった


【店舗情報】

「日常Life手屋」
住所:台中市大里區福興街30號
営業時間:10:30~15:30(火曜は10:30~21:00、日曜は10:30~17:30、月曜・土曜定休)
※訪問する際は、事前にFB等で問い合わせたほうが良い

【大里へのアクセス】
台鉄台中駅から59番・59延番・132番で大新停車場バス停下車

いかがでしたか。ちょっと地味ですが、有名どころの観光に飽きた方は、このような台湾の素顔が垣間見られる街を訪れてみてはいかがでしょうか。