こんにちは、のぶもんです。
先日、新竹縣の郊外・新埔の街に行ってきました。訪れたのは、10月9日。新埔で開催される柿餅(干し柿)祭りの直前です。町は柿餅づくりの最盛期ということで、友人の関口さんにご案内頂いて、新埔の見どころを回ってみました。
まずは、日本人の警察官が祀られているという場所に行きました。
そこはなんと、警察の派出所の敷地内なんです!
新埔にある寶石派出所。その敷地内に、このような石碑があります。日本統治時代に殉職した日本人と台湾人の警察官、宇野鐵太郎さんと陳子昌さんの名が刻まれています。
こんなところで日本人の警察官が祀られている碑に出会うなんて、とても不思議な気分です。
アクセスが悪いので、誰にでもおすすめできるスポットではないのですが、バイクやみても良いかもしれません。
【派出所へのアクセス】
新埔の中心部から文徳路三段→二段と南下。徒歩20分くらいで寶石派出所に着きます。バスは1日1本しか通りません。
次に向かったのは、なんとものどかな田園地帯。ここに、客家人の文豪の旧宅があるんです。その人の名前は吳濁流。「アジアの孤児」などが高く評価されている文豪です。
こちらが旧宅の正面です。とても立派な門構えですね。
客家の三合院形式のしっかりした建物ですが、デザインがホーロー人の住居と少し違います。
この住宅には部屋がたくさんあるのですが、何部屋にも渡って、吳濁流やその他の客家人作家についてたくさんの展示が見られます。
展示を見ているとこの方、若い頃からかなり血の気が多かったようです。20歳で教師になってから、台湾人自治を求める活動を始めて日本当局から目をつけられてしまいます。
戦後は作家活動にシフトしていきますが、台湾でタブーとされてきたニニ八事件などの問題にも切り込んだ作品を発表し、「鉄血詩人」の称されるようになります。
こちらの故宅では、以前、吳濁流ら客家人の作家をテーマにした大々的な文学展が開かれたようで、その際に作成された資料がこれでもかというくらい残されています。
さらに、他の客家人作家の紹介コーナーもあり、併せて、彼らにゆかりのある邸宅や別荘などが紹介されていました。
写真がとてもきれいで(過去に残っている写真は本当に素晴らしいです)、これらの故宅ではや別荘も訪れたくなりました。
この部屋にはとかに展示がありませんでしたが、小さくて少し暗い部屋は、彼の激動の人生をそっと見守るかのような落ち着きを感じます。
吳濁流に関しては、事前知識がほとんどなく、関口さんに「ここは見た方がいい」と勧められてきただけなのですが、台湾にはまだまだ知的好奇心をくすぐられる場所がたくさんあるんですね。
【施設情報】
「吳濁流故居」
住所:新竹縣新埔鎮新龍路310巷33號
開館時間:8:00~12:00 13:00~17:00
(月曜火曜定休)
客家の奥深さに触れたあとは、いよいよこの日のメインイベント・柿餅(干し柿)の観光農園に向かいます。
関口さんに紹介してもらったのは金漢柿餅教育農園。新埔にはたくさんの柿餅農園がありますが、ここは有名な農園の一つのようです。
この日は3連休初日なので、もともとお客さんは多いのですが、翌日から柿餅祭りなのを知っていて、混雑を避けて先にゆっくり観光しようという家族連れも多いようです。
作業スペースでは、ひたすら柿の皮を剥いているおばさんの姿が。
そして、外にはたくさんの柿餅!!!はい、この光景を見に来たかったのです。最近、新竹縣の観光案内などに盛んに使われるようになった、柿餅を干している写真。
僕が訪れた時間には青空も見えて、柿のオレンジ色と美しいコントラストを成していました。
この農園では、高い場所からも柿餅が見られるようになっていて、様々角度から楽しめるようになっています。
新埔の柿餅は、台北辺りでも有名になり、当地の重要な観光資源になっています。柿餅祭りのシーズンには連絡バスも出るようですが、基本的にはアクセスが不便なので、頑張って老街から歩いていってください。(約30分)
【店舗情報】
「金漢柿餅教育農園」
住所:新竹縣新埔鎮旱坑路一段501號
営業時間:8:00~17:00(原則無休)
こちらの農園では、申し訳ないことに風景だけを堪能して、柿餅を買い求めませんでした…。
そしたら、帰りの道沿いに小さな屋台が。よく見たら、ものすごくおいしそうな柿餅をたくさん売っていました。廉価版もありましたが、ここは奮発して高級な方を購入。帰ってからが楽しみです。
そして、関口さんに次に教えていただいたのが、農園と新埔老街の中間あたりにある、涼井生態園区の向かいのカフェ、涼井人文咖啡。googlemapにも載っていない隠れ家カフェです。
こちらのカフェでは、コーヒー・お茶が1杯50元!100元出せば飲み放題なんです!!高級豆や高級茶でないことは分かりますが、この利用システムには驚きました!
というか、このお店、とても雰囲気が良いので、コーヒー1杯130元と言われても納得するような素敵な雰囲気なんです。
そして、ここで先程買った魅惑の柿餅を早速賞味・・・ん!これはうまーい!大きくて、ほくほくした感じで、200元出した甲斐がありました!(あ、もちろん1つずつしか食べませんてましたよ😅)
【店鋪情報】
「涼井人文咖啡」
住所:新竹縣新埔鎮旱坑路一段220號
営業時間:不明
(住所は道路向かいの生態園区のものです)
新鮮な体験が目白押しの新埔めぐり。夕方が近づいてきたので、客家人の屋敷にもう一軒立ち寄ります。
それが、写真にある「劉氏雙堂屋」です。
1781年に当地で創建された客家人の屋敷ですが、今の建物は日本統治時代に再建されました。
もう夕方だったので中には入れませんでしたが、スッキリとした美しさに惹かれます。ここは日中、改めて訪れたいですね。
【施設情報】
「劉氏雙堂屋」
住所:新竹縣新埔鎮義民路二段460巷42號
開館時間:不明(03-589-2686まで問い合わせのこと)
こちらは、新竹から新埔方面行き5621バスに乗っていくと上枋寮下車です
さあ、ラストの見どころに急ぎましょう。
金色の獅子が眩しく鎮座するのは、「褒忠亭義民廟」です。
正門に向かって上がっていきますが、この正門がまた大層立派です。
こちらの義民廟は、台湾各地にある義民廟の総本山的な存在。清代初期におこった反乱で家族らを守るために義勇軍に参加し、命を落とした客家の民を祀った廟です。
秋に開催される義民文化祭には多くの人が訪れ、総統を始め有力な政治家が参列することも多いようです。
中に入ると、台湾の一般的な廟とは少し雰囲気が違います。どちらかというと地味。でも、質素な中に美しさが感じられ、心が洗われるようです。
夕暮れ時とあって、参拝する人はまばらでしたが、地元の子どもたちが境内で遊ぶ姿が見られ、少しだけ村の廟のような表情を見せていました。
【施設情報】
「褒忠亭義民廟」
住所:新竹縣新埔鎮義民路三段360號
開館時間:5:00~20:00
こちらも、新竹から5621バスで行くことができます。
いかがでしたか。今回は、関口さんのご協力を頂いて、一人では行きづらいスポットをたくさん紹介していただきました。
外国人に知られたスポットは一つもありませんでしたが、台湾の客家文化を知る上でとても参考になる場所もありました。また、今となっては日本人がほとんど訪れない地に、日本人警察官の碑が残っているのにも感激しました。
車がないと回りづらいエリアなので、日本人の皆さんに気軽に来てください!とは言いづらいのですが、こういう場所を丹念に回るバスツアーを企画できたらいいな、と密かに構想を練っています。
なお、より詳しい情報に触れたい、という方は、関口直美さんが書かれている「台湾ビジュアル辞典」というブログをご覧くださいね。