のぶもん台湾さんぽ

台湾のあちこちに出かけたときの旅日記をつらつらと書いています。マイナーな街の紹介が結構多いです。

金門島訪問記4〜アジアの歌姫の声は届いたか

こんにちは、ダーション(大雄)です。

金門島の旅はのどかに続きますが、見どころはほとんどが軍事関連。分かってはいましたが、何とも複雑な気分です。
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次の訪れたのは、馬山観測所。ここは、対岸の中国大陸までわずか2,100mしかない最前線。敵方へのプロパガンダの本拠地でした。とにかく、どこに行ってもトンネルが張り巡らされています。
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この女性、誰だか分かりますか?そう、台湾を代表する国際的歌手テレサ・テンです。実は彼女、父親が職業軍人だったことなどから、軍隊への慰問活動を積極的におこなった「軍人の恋人(軍中情人)」とも呼ばれました。

 

テレサ・テンは、この観測所にも2回来たそうです。命の危険と隣り合わせで、娯楽もロクにない(このことは、次回詳述します)軍事基地を、国民的歌手が訪れるときの兵士たちの喜びようは、想像を超えるものがあったでしょうね。

 

最後には、タイのチェンマイで死を遂げたテレサ・テン。彼女が抱える様々な背景から、その死には様々な憶測が流れたといいます。でも、こういった軍事施設に慰問で訪れたときは、ある種の愛国少女のような気持ちでいきいきと過ごしていたかもしれません。
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さらにトンネルを抜けていくと、監視塔に着きました。この隙間から、兵士がずっと対岸を監視していたんですね。
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そこには、穏やかな海が見えるのですが、どこか緊張感をはらんでいるように見えてしまいます(ほぼ先入観なんですけどね)。
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車はさらに、次のポイントへ行きます。ここは、瓊林戰鬥坑道という民間防衛トンネル。そう、軍だけでなく、民間の人々もこういった施設を作って有事に備えていたわけです。

 

この町内会館みたいなローカルな建物の中に入ると、受付のおじさんから「今日はこの間の雨でトンネルが水浸しだから、サンダルで行け」とのお達しが。え?僕も、スニーカーなんですけど。

 

まあ、台湾のことだから、何だかんだである程度水に浸かるくらいだろ、とタカをくくってトンネルへ。
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そしたら・・・低い場所に行くに連れ、水がメッチャクチャ溜まっていました!!もう、スニーカーがどうとか言っている場合ではありません。

 

勇気を奮って、くるぶし→膝下→膝上浸水!ハーパンをまくし上げ、川口浩探検隊の気分で、最深部を通り抜けます。

 

とまあ、今では笑い話で済みますが、これを実戦で使うとなると、軍の施設と異なり、民間の防衛設備の脆弱さを痛感せずにはいられません。でも、当時としては、これが労力的にも予算的にも限界だったのでしょう。

 

金門の人々が置かれた状況の厳しさを改めて考えるきっかけになりました。
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そして、晴れて出口に到達したら、こんな方が出迎えてくれました。これは風獅爺。金門では集落の守り神として信仰されており、とこの集落でも見られるそうです。何か、シーサーに似ていますね。トンネルの中が予想以上に不安だったので、風獅爺の姿を見て、ようやくホッとしました。
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軍事遺構めぐりはまだ続きます。次回は、僕が金門島に強く興味を持つきっかけとなったある映画の話が出てきます。