のぶもん台湾さんぽ

台湾のあちこちに出かけたときの旅日記をつらつらと書いています。マイナーな街の紹介が結構多いです。

台北さんぽ~二二八事件について学べる紀念館に行こう

こんにちは、のぶもんです。

今回は、舞台を台北市内に戻し、台湾の苦難の歴史を学ぶ歴史的施設をご紹介しますね。それが「二二八國家紀念館」です。


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はじめに~二二八事件とは


 太平洋戦争で日本が敗北し、台湾から引き上げた後、台湾にやってきたのは国民党政府と軍でした。しかし、ずさんな政治と腐敗の横行に不満を募らせた台湾の人々は、国民党政府に反感を持つようになります。
 そんな中、1947年2月27日に台北市内で闇たばこを商う行商人を取り締まったことに対して市民が抵抗し、取締員が発砲した弾が不幸にも市民に当たり、その市民は死亡。ここから国民党政府に対する不満が一気に爆発し、全国的な暴動に発展します。
 これに対して、行政長官の陳儀が中心となり、大規模な掃討作戦が行われ、その過程で数万人ともいわれる犠牲者を出しました。それだけでなく、この時に始まった戒厳令は1987年まで続き、戒厳令が解除されるまでの国民党政府による政治弾圧が長く続くきっかけともなりました。

 

台北市内には、戦後台湾に重くのしかかるこの事件を風化させないための施設がいくつかありますが、そのうちの一つがこの紀念館になります。

1.日本統治時代にすでに建てられていた!


紀念館の建物は、日本統治時代に建てられました。もとは台湾教育会館と呼ばれ、芸術展を広く開催するための施設として建てられました陳澄波のような著名な芸術家の作品展も開催されたことがあります。


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戦後は国民党政府に接収され、台湾省の参議会や台北米国広報文化交流局などとして使われたあと、2011年2月28日にニニ八事件の教訓を学ぶ施設としてリニューアルオープンしました。


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この建物の設計者は、総督府営繕課に所属する井手薫。セットバック技法という奥行き感をもたせる建築技法により、奥行きある建物になっています。正面の階段も豪勢ですね。


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建物だけでもたいそう興味深いのですが、この記念館の展示は非常に中身の濃いものになっています。


ここは、正面上の二階部分。あちこちに絵になるアングルがあります。


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この荘厳な洋風建築が、台北の激動の歴史を見つめてきた訳です。それでは、各ブースの内容を紹介していきましょう。


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2.各ブースの展示でニニ八事件を学ぶ

 

1)常態展(2階)
この記念館のメインとも言うべき展示室です。室内に入ると、回廊状の展示を次々とめぐるうち、日本統治時代の状況から戦後台湾への変遷、ニニ八事件の全貌から、その後の白色テロまで歴史を歩むように学ぶことができます。


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QRコードにスマホをかざせば、各言語でも音声説明を聞くことができ、日本語でも詳しい説明を聞くことができます(聞き取りやすい日本語で、非常に優れた説明になっていると思います)。


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ニニ八事件に登場する様々な人々の写真・絵が見られます。深く掘り下げられた人物も多く、事件の立体像がより浮かびやすくなっています。


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抵抗者たちの資料だけでなく、弾圧者側の資料も多く展示され、事件の詳細を多角的に見ることができます。


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ニニ八で犠牲になった人々の写真。

 

どこまでも続く写真に、事件の規模の大きさ、恐ろしさをまざまざと見せつけられます。


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中には、取り締まり対象者が長期間隠れた非常に狭い隠れ家の模型も展示されております、殺害された人のみならず、事件の残した傷跡の深さを感じさせます。


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2)特設展(2階)

紀念館では、常設展以外にも、シーズンごとに企画展が開催され、さまざまな角度から二二八事件を見つめなおすことができます。

僕が訪れたときは、「土地痕跡」という展示をやっていました。

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二二八事件の概略は知っていても、当時発生した抗争や弾圧の詳細な状況はなかなか知る機会がありません。この企画展では、台北市内の構想の詳細などが展示されていて、当時の様子がリアルに感じ取れるようになっていました。

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3)特別展(3階)
 3階に上がると、二二八後の自由が民権を取り戻す運動についてさまざまな展示が見られました。僕が訪れたときは、3階で「台湾の音 傳播行動」という展示が開かれ、台湾の独立を台湾の外から応援する活動について紹介されていました。アメリカにベースを置いたグループがラジオ放送を使って、台湾独立活動を支援するというもので、僕はこの展示を見るまで、このような活動のことを全く知りませんでした。

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展示は非常に詳細なもので、アメリカ発の独立支援活動の全貌がかなり良く分かりました。

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4)建物の歴史も学べます(1階ブース)

 

1階の部屋では、旧台湾教育会館としての展示も見られます。日本統治時代の会館の様子が説明されており、こちらも興味深いです。


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建築物としても魅力あるこの建物。建築に関する資料も展示されていました。日本統治時代の建築に興味がある人にとっても必見のスポットだと思います。


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いかがでしたか?重い内容の展示が多いですが、これも台湾が辿ってきた歴史です。「楽しい・おいしい」だけではない、台湾の苦闘の跡を、皆さんにもぜひ見ていただきたいです。

 

【施設情報】

「ニニ八國家紀念館」

住所:台北市中正區南海路54號

開館時間:10:00~17:00(月曜定休)











4.周辺のスポット


まずは