のぶもん台湾さんぽ

台湾のあちこちに出かけたときの旅日記をつらつらと書いています。マイナーな街の紹介が結構多いです。

福建を歩く3〜土楼の現実

こんにちは、大雄(だーしょん)です。

 

土楼の中の部屋に泊まるという、夢のような夜が明け、朝になりました。

 

朝早く、もう一度展望スポットまで上がります。夜の幻想的な風景もいいけど、適度に緑に囲まれた風景もかなり良いです。f:id:funstudy-taiwan:20190724232741j:image

朝の土楼の内部。これから皆さんの一日が始まります。この風景を見ると、どことなく江戸時代の長屋が高層になったような感覚に陥るんですよね。

 

やっぱり、普通の農村風景とは違う印象を受けるなあ。
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土楼の内外では、あちこちで農作物を干しています。これは、ネギみたいな感じです。
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土楼にも、普通の生活があります。朝早い時間だと、人々の雰囲気も普段着ぽいです。あと2時間くらいしたら、ある程度よそ行きの顔になるんでしょうね。
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さて、朝になり、ふと困ったのが朝食。民宿のおかみさんに「朝ごはんも作って!」と頼めばよかったのですが、土楼に素晴らしさに魅せられて、すっかり忘れていました。

 

土楼の人たちにいろいろ聞いて回って、紹介されたのがこちらのお店。
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多分、10時くらいに営業開始なのでしょうが、土楼の知らないおばさんが「この日本人のお客が朝飯を食べたいそうだよ。なんか作ってやって」といった感じで話してくれて、こんな料理を作ってくれました。

 

おそらく麸入りの麺です。具材は、土地で取れる野菜などでしょう。特別な料理ではないけど、少し冷え込む山あいの土楼では、心に沁みるようなあったかいおいしさでした。
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さあ、そろそろ土楼ともお別れです。やっぱり、何度見ても独特感100%だなあ。
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実に素敵な土楼体験でしたが、民宿のご夫婦その他の方から聞いた話は、この地のおかれた厳しい状況を如実に伝えるものでした。

 

まず、田螺坑土楼の近くに小学校がありません。実は、民宿のご夫婦には小学生の娘さんがいるのですが、平日は、村から車で30分以上離れた、例のバスターミナル付近の小学校で寮生活を送りながら通学しているのだそうです。

 

夫婦共働きが一般的な中国では、通学用バスが走っていない村から遠く離れた学校に通うのは難しいのでしょう。

 

病気のときも大変だそうです。村にはもちろん病院はなく、急病・重病のときは遥か遠くの病院まで連れて行かなければなりません。

 

旅行で来る分には、のんびりできて楽しいでしょうが、ここでずっと暮らすとなると、やっぱり嫌かな。。。

 

土楼の生活はとても物珍しく、1日、2日体験するなら面白いでしょうが、ある程度共同生活の面があり、お互いにいろいろな摩擦も生じるでしょうし、それなりに我慢も必要でしょう。

 

ここでは、厦門のような沿岸部の大都市のような経済発展の恩恵はあまり届いていません。頼みの綱は観光。だから、土楼がなければならないのも事実です。

 

観光地としての魅力と、ローカルな人々の暮らしやすさは、しばしば相いれなくなります。土楼を持つ村でも、今の荘厳な土楼を長く残しつつ、そこに住む人たちの暮らし向きが良くなる方策が有れば良いのですが。

 

そんなことを感じつつ、例の弟さんが自分の車でバス乗り場まで送ってくれました(ただし50元で・・・まあ、それが普通ですよね)。ちなみに、ヘアピンカープの山道を頭文字D並にぶっ飛ばして、わずか20分くらいで、あのおばさんと出会ったバス乗り場まで行けました(少し怖かった笑)。

 

路線バスに乗って、南靖の町まで戻ります。厦門とは違って、かなりのんびりした街のようです。やっぱり、町が静かです。車もバイクも電動がほとんど。浸透しているのは、都市部だけではないんですね。
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1~2人乗りのタクシー(?)です。ちょっと可愛らしいですね。
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せっかくなので、ローカルな食堂に入ってみます。バスターミナルに一番近くて、ちょっと良さげな店を発見。
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牛肉炒めみたいな料理にご飯にスープ。少し脂っこいけど、なかなかのおいしさです。
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さらにバスと新幹線を乗り継いで、厦門に戻ってきました。ちょうど夕刻で、目抜き通りからきれいな夕焼けが見えました。街行く人々も一斉に写真を撮っています。
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最後の夜は、厦門のツインタワーに行って見ました。上海や広州のタワーほどではありませんが、とてもきれいです。(ただし、入場料金は高かった!)
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福建省の対極とも言うべき代表的な顔を二つ見比べる形になりましたが、どちらも見ごたえがありましたね。

 

随所にはツッコミどころもたくさんあるのですが、中国が持つダイナミズムや多様な顔を垣間見られる、感慨深い旅になりました。

 

とはいうものの、台湾と福建のつながり、相違点、共通点などについての本格的な勉強はこれからの課題ですね。