のぶもん台湾さんぽ

台湾のあちこちに出かけたときの旅日記をつらつらと書いています。マイナーな街の紹介が結構多いです。

日本一時帰国!1泊2日の房総半島の旅~大多喜で文化財になった古い旅館に泊まる

 

  1. 初めて降り立った大多喜の町

    2月19日。久しぶりの日本国内旅行を楽しんでいる僕は、房総の小さな城下町・大多喜の古い旅館に泊まりました。古い旅館が現役で活躍している町があるという記事をネットで見つけ、それが大多喜にあることが分かったためです。むかしむかし、国鉄木原線の時代に通過したことはあるものの、近いがゆえにその後の旅行先になかなか選ばれず、大多喜の町の魅力もほとんど知らずに過ごしていました。

    いすみ鉄道の大多喜駅駅舎。城下町の趣を感じさせる

    大多喜町は千葉県夷隅郡に位置し、人口約8,400人。戦国時代から城下町として栄え、本多忠勝の居城だったこともあります。今大多喜町では、大河ドラマに地元ゆかりの本多忠勝を推薦する運動が展開され、街のあちこちで忠勝ゆかりの土産物などにも出会えます。

    大多喜駅の2番ホーム。まさに昭和
  2. 文化財となった老舗旅館

    もともと歴史ある大多喜の町ですが、この街の中心部に、江戸時代から続く老舗の旅館「大家旅館」があります。かつて、正岡子規が泊ったこともあり、つげ義春の『リアリズムの宿』にも登場しており、ドラマや写真集のロケ地としても良く使われるとか。大多喜駅から徒歩7~8分。昔ながらの建物が残る通りを眺めながら楽しく散歩しているうちに、古くて立派な建物にたどり着きます。これが大家旅館です。

    大家旅館
  3. 古き日本のたたずまいを感じさせる旅館の建物

    旅館の中に入ってみましょう。大家旅館は、1885年(明治18年)ごろに建てられたといわれる古い建物。すでに100年以上の歴史を持っているんですね。中に入るとそこは明治から昭和初期の香りがただよいます。

    いきなりこのレトロな風景がお出迎え

    部屋に通されてひと息つきます。この部屋は、昔の日本旅館ではよく見られたスタイルで、鍵はかからず、廊下と部屋を隔てるのは障子のみです。古い衣文かけ、欄間、そして昔ながらのこたつ。久しぶりの感覚に懐かしさを覚えます。欧米基準のセキュリティ感覚では、あり得ない作りだと思いますが、街中にあるビジネス旅館は、鍵なしの部屋が多かったですよね。昔は当たり前だと思っていましたが、日本の治安が世界的にいも良かった証なのでしょうか?

    鍵ナシ、障子のみの部屋。昔はこういう旅館が多かった

    日本の冬の最強アイテム、こたつもある
  4. 久しぶりに日本の旅館の食事を満喫する

    日本の宿の楽しみの一つは、食事ですね。台湾をはじめとする世界各国では、ホテルの宿泊と食事は必ずしもセットではありません。しかし、日本旅館では1泊2食付きが一般的。大家旅館でも夕食と朝食が食べられます。大多喜は小さな町で、夜になると本当に静か。夜営業している飲食店はとても少ないようで(飲み屋はあるようですが)、旅館でしっかりと食事ができるのはありがたいかもしれません。

    応接間(ここもレトロ!)で夕食・朝食を食べる


    まずは夕食です。

    日本旅館の夕食といえば、人目を引くような豪華な料理が食べきれないくらい並ぶのが最近の定番。でも、見た目が派手な料理よりも、土地の食材を生かした家庭的な料理のほうが、健康的だし、その土地との結びつきを感じやすくて好きです。

    大家旅館の夕食は、刺身、焼き魚をメインに、肉、野菜などバランスの取れたメニュー。旬のタケノコや、近海の魚の刺身がおいしく、小鉢料理もバラエティに富んでいて、飽きの来ないおいしさです。お腹いっぱいの手前くらいの分量も最適で、これくらいの料理を日本旅館のスタンダードにしてもらいたいくらいです。

    おいしくて量的にもちょうどよい夕食

    朝食も、日本旅館らしい素朴でおいしい料理の数々を楽しめました。干物、菜の花のおひたし、タケノコ、もちろん味噌汁も良い出汁が出て、とてもおいしかったですよ。こういう夕食・朝食がいただけるのなら、一泊二食付きも悪くないと思います。

    派手な料理はないが、優しい味わいの和朝食
  5. もっと知られてほしい、歴史建築の旅館

    大多喜の大家旅館に限らず、日本全国にはまだ、古い木造建築の旅館が残っているそうです。ガイドブックには載りづらいテーマなので、まとまったデータは見つかっていませんが、関東でも、埼玉県ときがわ町などにも渋い旅館が残っているようです。

    自分でももっといろいろな旅館に泊まってみたいですが、皆さんも、機会があったら、古くて渋い日本旅館を体験してみて下さい。

    大家旅館の正面。末永く続いてほしいものだ

     

    【旅館情報】
    「大家旅館」
    住所:千葉県夷隅郡大多喜町新丁64番地
    電話:0470-82-2020