この間、久しぶりに宜蘭の市内をあちこち歩いてきました。宜蘭市内は、歴史を感じさせる名所がたくさんあるのですが、意外と知られていない名所がいくつもあります。今回は、ガイドブックに載りづらい見どころをいくつか巡ってみようと思います。
1.宜蘭の新しい文化スポット~蘭陽原創館
宜蘭は、日本統治時代の古蹟が数多く残されていますが、戦後の台湾で建てられた歴史建築も保存・活用が盛んになっています。その代表例が「蘭陽原創館」です。
宜蘭市の中心部、宜蘭県議会の裏手に、古いレンガ造りの官舎があります。この古い住宅群が、修復・リノベされ、小さな文創意園区「蘭陽原創館」としてリニューアルオープンしました。
数年前からずっと修復作業が続いており、僕が初めてここを訪れたときは、園区の一角に「阮義忠台湾故事館」がぽつんと営業しているだけでした。
ところが、今回訪れてみると、建物の修復はほぼ終了しており、何軒もの飲食店・ショップ・アート工房などが入居していました。小さいながらもフリーマーケットも週末に開催されており、かなり本格的な園区になっています。
この文創館のメインテーマは、原住民文化。原住民の文化にまつわるショップが多く、とても興味が湧きました。
中でも印象に残ったのが、「1919 Smoked BBQ 原燒料理」というお店。スペアリブやハンバーガーなどの豪快な料理が食べられる個性的なお店なのですが、オーナーさんはアミ族の方のようですね。1919の由来ですが、実は原創館の建物に直接は関係しておらず、なんと日本統治時代に宜蘭鉄道駅が開業した年にちなんだとのこと。現在の、まるで動物園のような斬新なデザインの駅舎を見て、宜蘭で肉料理のお店を開こうと思ったそうです。なんだかうれしくなるエピソードですね。
今回は、その前に宜蘭で有名な小籠包を食べたため、ここでの食事はパスしましたが、次回はぜひトライしてみたいです。
他のお店も軽食やドリンク、スイーツなどを用意しており、フリマが営業していたら、そちらものんびり覗いてみたいですね。
【施設紹介】
「蘭陽原創館」
住所:宜蘭市中山路二段430巷1號
開館時間:10:00~18:00(火曜定休)
蘭陽原創館 首頁 - 歡迎光臨 宜蘭首座以原民文化為主的生活美學展銷空間
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【阮義忠台湾故事館も見てみよう】
先ほどちらっと紹介した「阮義忠台湾故事館」。ここの主役となる、台湾を代表する写真家の阮義忠は、宜蘭県頭城出身で、いわば郷土の誇りともいうべき存在。彼の業績をたたえ、季節ごとに新しい展示企画を開催しています。
今回訪れたときは、阮義忠と版画家・楊英風のコラボ作品展を開いていました。どちらも、台湾の風土に根差した、どこか懐かしさを感じさせる版画や写真がたくさん飾られ、戦後台湾の人々の暮らしの様子が垣間見られます。今では、改装されて、少しスペースが広くなっていました。これならコラボ展なども開催しやすいですね。
【施設紹介】
「阮義忠台湾故事館」
住所:宜蘭市中山路二段430巷33號
開館時間:9:00~16:30(月曜定休)
https://culturaltour.e-land.gov.tw/stories_of_taiwan/
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2.戦後公共建築を再活用~宜蘭人故事館
蘭陽原創館のすぐ近くに、かつて宜蘭県議会だった建物が残っています。1959年に建てられた旧県議会の建物は、近年になって地元の文化・人物などを紹介する記念館「宜蘭人故事館」としてリニューアルオープンしました。
これまでの様々な企画展が開催されてきましたが、現在は、宜蘭が生んだ名政治家とも称される、陳定南の足跡をたどる企画展が見られます。
そして、石製品を中心としたお土産コーナーの奥に、なんと茶芸館ができていました。以前は小さなカフェだったようですが、今では1セット300元でお茶が楽しめるようです。
宜蘭の生活を振り返る展示もいろいろと見られます。こちらの天蓋つきベッドが大変に立派ですね。宜蘭人故事館では、茶芸コーナーだけでなく、併設のピザレストラン、フレンチレストランまであります。評判が良さそうなので、そちらもいつか利用してみたいです。
【施設紹介】
「宜蘭人故事館」
住所:宜蘭市中山路二段426號
開館時間:10:00~18:00(月曜定休)
宜蘭人故事館
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3.地域に根差したリノベ美術館~宜蘭美術館
宜蘭一大きなショッピングモール「新月廣場」の向かい側に立つ、少し古めかしい建物。こちらが「宜蘭美術館」です。
ここはかつて、1949年に建設された台湾銀行宜蘭支店の建物でした。銀行の改築に際して、この建物を保存・活用することが決まり、修復・リノベを経て地域に根差した美術館して再出発することになりました。
台湾銀行の建物だっただけあって、館内はかなり広く、美術展の展示室は大きなもので2つ。仕切りを工夫すれば、3つの異なる美術展も開くことができます。現在は、地元・宜蘭出身者を中心とした若手芸術家たちによる競作展が開催中。競作展は、一人一人の作風の違いを比較することができ、個展とはまた違った楽しみが感じられていいですね。
建物自体にも魅力があります。戦後すぐに建てられた銀行建築は、防犯や権威付けなども意味から、非常に重厚なつくりになっています。レトロ建築好きには魅力的な建物だと思いますよ。
美術館正面の一部の窓には、写真のような絵が貼られ、まるでステンドグラスのようです。台湾ではあまり見る機会がないので、少し驚きました。
【施設紹介】
「宜蘭美術館」
住所:宜蘭市中山路三段1號
開館時間:9:00~17:00(月曜定休)
宜蘭美術館
↑HPはこちら
いかがでしたか?様々な時代のレトロが今も息づく町・宜蘭。宜蘭設治紀念館など、日本時代の遺構とあわせて、一日たっぷり使って見て回ってください。