のぶもん台湾さんぽ

台湾のあちこちに出かけたときの旅日記をつらつらと書いています。マイナーな街の紹介が結構多いです。

台北・菊元百貨店の企画展に行ってみました!

こんにちは、のぶもんです。

 

皆さんは、菊元百貨店をご存知ですか?

 

日本統治時代の台湾では、台北(菊元百貨店)、台南(ハヤシ百貨店)、高雄(吉井百貨店)に本格的な百貨店が誕生しました。

 

このうち林百貨は、修復・リノベされ、日本統治時代のレトロな雰囲気を楽しむ、台南のランドマーク的な存在になりました。一方で菊元百貨店は、戦後も長らくデパートなどとして使われてきたためか、改築が繰り返され、日本統治時代の構造部分はわずかに残るのみです。

 

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このように、リノベして歴史観光スポットに活用することが難しいことから、長らく台北人や台北在住日本人の間でも忘れられた存在となっていました。

 

そんな菊元百貨店の企画展が開催されると聞き、8月初旬に見学に伺いました。テーマは「守護城中 再現菊元」。昔の痕跡がほとんど残っていない菊元を「再現」??いったい、どんな展示が見られるのでしょうか?


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企画展の会場は、ビルの2階です。外見は普通のビルで、1階にはパラパラとテナントが入るだけの、少し寂しいビルです。しかし、2階の会場に入ると、そこはそこは暗闇の中にいろいろな展示が浮かび上がって見える、別世界になっていました。

 

むき出しのコンクリートの柱。その間を通路が設置されていて、そこをたどると菊元百貨店の歩みを振り返ることができる、という趣向です。通路以外の部分は立入禁止。通路以外は、安全が確保できないのでしょう。


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まず目を引くのは、こちらの模型。在りし日の菊元百貨店をかたどったものです。菊元百貨店と台南のハヤシ百貨店は、ライバルとも言える存在で、開業日を競い合い、なんと菊元百貨店の方が1週間早い開店を実現したのだそうです。


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こちらの写真に写っている男性。この人物が、菊元百貨店を開業した重田栄治です。なかなかエネルギッシュな風貌の方ですね。このデパートについても、先進的な取り組みをいくつもしていて、エレベーターの設置やエレベーターガールの配置、5階のデパートレストランの開業など、当時の台北では最先端の商業施設だったそうです。


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こちらが当時の店内レストランの様子。洒落た感じで、今復活させれば、人気が出そうです。


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この企画展の見どころは、様々な技術を使って、菊元の歴史を、我々の記憶と繋げる工夫がなされていること。AIを使って当時の様子を再現したり、バーチャルツアーのように店内を練り歩く疑似体験ができるなど、従来の歴史的建造物での展示とはかなり違う見せ方をしています。

 

台湾の歴史建築は、修復した建物を存分に見せる、というところが最大の見どころになるのですが、物的資料が少ない菊元の場合、映像による再現イメージや、想像力を掻き立てる展示の工夫で、補っている感じがします。


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こちらは、当時の品物を展示するコーナー。数は少ないものの、映像のイメージと不思議にリンクして、印象に残りました。


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館内では、ところどころに、日本統治時代の構造物が残っていて、そこを強調する形で見せてくれます。現存する形をそのまま見せているので直接触れるのは難しいですが、これらの数少ない古い構造物が、かえって想像力を掻き立ててくれます。


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入口付近で展示されている3軒のライバルデパートたち。高雄の吉井百貨店を含め、良い意味で切磋琢磨している感じがして、先駆者たちの意気込みや先進性を感じずにはいられません。


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今回見学して初めて知ったのですが、菊元百貨店の建物は、台北市の歴史建築に指定されています。本当は古蹟指定を狙っていたのですが、歴史的な構造物が少ないなどの理由で、そこには至らず。それでも、素人が見ればただの少し古ぼけたビル(失礼!)ですが、数多くの研究者たちの尽力により、歴史的価値が一定認められるまでこぎ着けた、というのは本当に有り難いことです。

 

この企画展、2025年1月5日まで開催されるそうです。これから台北を旅行しようと思う方も、ちょっと立ち寄ってみてはいかがでしょうか。