こんにちは、のぶもんです。
みなさん、台湾の「旅社」をご存知ですか?
台湾の少し大きな街に行くとちょっと寂れたエリアでよく見かけるのですが、簡単に言えば廉価なビジネス旅館です。
日本にも昔、「ビジネス旅館」や「駅前旅館」が結構ありましたね。あれに近い感じです。
そんな戦後台湾のレトロをたっぷり感じさせる建物が彰化にある「紅葉大旅社」です。
ここは築約60年の古い旅社で、長い間営業してきましたが、時代の流れには勝てず閉館。2001年に1階をおもちゃ展覧館として公開し、その後カフェの時代を経て、現在は文化活動スペースになっています。
下の写真は、1階のフロント。60年前にこんなモダンな内装だったかと思うと、とても興味深いですね。
こちらは、電話交換機。電話が一般に普及する前には、このような交換機が活躍していたのでしょう。その当時の旅社の繁栄ぶりが想像できます。
古いタイプの黒電話。今の子どもたちはそもそも、ダイヤルをジーコジーコ回して電話をかけることを知らないでしょう。
2階に上がりましょう。階段の造りもかなりおしゃれですね。最新のカフェで使っても違和感がなさそうです。
廊下が見えます。今のホテルでは考えられないくらい狭いですね。
部屋の中も見ることができました。日本時代とはまた違った趣ですが、日本で言えば、まさに昭和をイメージさせる調度品がいっぱいです。
こちらの施設では、布袋劇の人形もたくさん保管されています。布袋劇は、台湾庶民に長らく愛されてきた伝統劇。台湾人なら、知らない人はほとんどいません。
ここでは、布袋劇の上演も時々行われるようですね。中には、日本女性をイメージした人形もありましたよ。
さて、この花びら形の穴が空いている空間。みなさんはなんだと思いますか?実は、宿泊客の相手をする女性の見るための穴なんです。
奥には、いつも女性が待機している空間が。売春が法律で禁止される以前は、このような斡旋を旅社が行っていたということでしょうか。
そう言えば10年くらい前に高雄の駅前ホテルに泊まったとき、その階の担当のおじさんに「女の子はいらないか?」と聞かれたことがあります。僕は金も興味もなかったので断りましたが、おじさんは日本語がペラペラ。きっとこの地を訪れる日本人男性に多数の女性を紹介してきたのでしょうね。。。
それにしても、こんな狭くて薄暗い空間で、じっとお客のリクエストを待つ女性の気持ちはどんなだったでしょう。
綺麗事だけでは語りきれない台湾を垣間見た気がしました。
ちなみに、僕が訪れた日は開館日ではなかったようです。メディアによって開館日の情報が異なり、ぶっつけで確かめるしかありませんでした。
現地に行くと危惧したとおり閉まっていたのですが、「こちらに連絡してね」と書かれた電話番号にかけると、管理者のおじさんが電話に出て、すぐに開けに来てくれました。
たまたま要事がなかったのでしょう。30分以上かけて、館内を説明してくれました。(おかげで布袋劇の人形な存在なども知りました)
週末は、子どもを対象にした様々な体験活動も催されるとのこと。地域の歴史を今に伝えつつ、子どもたちが集い、活動する場として引き続きこの地で行き続ける紅葉大旅社。今では「紅葉親子童玩館」として頑張っています。
少し前の台湾人のブログ記事に見られるようなカフェの営業はありませんが、タイミングがあったらぜひ皆さんにも触れていただきたいですね。
【施設情報】
「紅葉親子童玩館」
住所:彰化市長安街100巷5號
開館時間:9:00~17:00(金土は~20:00)
※火曜定休