こんにちは、のぶもんです。
台北にある国立博物館。実は全部で四館あります。すでに鉄道部園区には行きましたが、残りも行ってみようということで、今まであまり気にしていなかった「南門舘」に足を運んでみました。
MRT中正紀念堂駅から歩いて3分の場所にあるこちらの煉瓦造りの建物。これが「國立臺灣博物館・南門館」です。
ここは日本統治時代に、樟脳とアヘンの生産及び実験の基地となる専売局台北南門工場として建設されました。
現役時代はとても広い敷地だったそうですが、大部分は処分。今残っている樟脳倉庫(紅樓)や品物倉庫(小白宮)が国定古跡に指定され、台湾博物館の分館として公開されるようになりました。中に入ると建物の模型がありますよ。
まずは樟脳関連の展示から。樟脳は、クスノキの精油の主成分。用途はとても広く、外用医薬品の成分として使われる他、防虫剤などにも使われます。かつては、セルロイドの可塑剤としても大量に使われていました。
日本統治時代の台湾では、樟脳の生産で大きな富を築いたそうです。
日本時代の樟脳販売に関する資料も見られます。
樟脳生産の設備も見ることができます。
ガイドさんの説明にも遭遇しました。かなり詳細な説明をしていたようです。
その一方で、アヘンに関する展示もたくさんありました。台湾総督府は、アヘンの専売を行っていました。といっても、台湾人をカモにしてボロ儲けをした、とかありません。
台湾割譲時に台湾ですでに蔓延していたアヘンを徐々にやめさせる漸禁政策を実行するため、アヘンの生産・販売をすべて国の統制下に置く政策だったようです。
この人は、台湾でもっとも高名な医師・杜聰明博士。アヘンなどの毒物研究の第一人者です。息子さんは杜祖健さん、父の偉業を引き継ぎ、オウム真理教のサリン事件で大きな貢献をされた方です。(ちなみに、杜聰明博士は淡水の出身で淡水三偉人に挙げられています)
2階は企画展の会場です。このときは、「自然科学絵画展」という、かなりレアな展示をやっていました。
「なぜ写真ではだめなのか?」の説明。僕も「絵より写真のほうが正確では?」と思ったのですが、植物の細かな特性をわかりやすく捉えるには絵のほうが効果的なのだとか。
いわゆるアートの世界とは少し趣が違いますが、よく見てみると、確かに絵だとわかりやすい気がしてきました。
その他にも様々な展示がありました。例えば、牧野富太郎の「大日本植物誌」。牧野富太郎は「日本植物学の父」と呼ばれ、僕が昔住んでいた東京・大泉学園に記念庭園がありました。
台湾の吸血鬼(!!→実は吸血性昆虫のこと)を研究した素木得一(しらきとくいち)の研究についての展示もありました。この人も知らなかったなあ。。。
さらに、初代の台湾英領事でありながら、台湾各地を旅して博物学者として活躍したロバート・スウィンホーの展示も。この人は、淡水港の領事館を再建した人なんですね。
いろんな刺激を受けた後は、別館の小白宮へ。西洋のお屋敷のように見えますね。
中は広々したホールになっています。いろいろな文化活動ができそうですね。
こちらの円形の池はただのお飾りではなく、度重なる火災に備えるべく貯水池として使われた「四百石貯水槽」の跡だそうです。
オープンスペースに戻ったら、週末マーケットが開かれていました。台湾では、少しスペースがあると結構あちこちでマーケットを開催しますよね。
この日は、お手製はちみつレモンや、粉粿を楽しみました。
正直、あまり期待していなかった南門館ですが、思いの外面白かったですよ。台北市民は結構知っているのでしょう、家族連れでかなり賑わっていました。
企画展も含めて、日本人でもかなり楽しめます。アクセスも良いので、台北さんぽの候補に入れてみてはいかがでしょうか。
【施設情報】
「國立臺灣博物館・南門館」
住所:台北市中正區南昌路一段1號
開館時間:9:30~17:00(月曜定休)