のぶもん台湾さんぽ

台湾のあちこちに出かけたときの旅日記をつらつらと書いています。マイナーな街の紹介が結構多いです。

九份に来たら隣町の静かな老街も歩こう

こんにちは、のぶもんてす。

 

先日の九份訪問では、先に祈堂老街を訪れていました。

 

ここは、僕が日本の皆さんに強く推したいスポットで、来るたびに心が洗われる気がしています。


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西門駅のバス停から九份方面まで約1時間。965番のバスで快適な移動。今はお客さんが台湾人しかいないので空いていますが、それでも前回の九份訪問時よりも混んでいましたよ(^o^)


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この日は965バスの終点「瓜山國小」から長い階段を上がって、老街エリアに入りました。

 

階段が終わると、太平洋戦争中の連合国軍側の捕虜に関するメモリアル公園に着きます。戦時中の捕虜たちの労苦を悼む碑などがあります。ここについては、あまり記事が探せなかったので、今後の勉強課題ですね。


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そこから数分で老街に入ります。住んでいる人は少なく、空き家も多いようです。老街自体が、時代から取り残されたタイムカプセルのように見えます。


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廃墟になっている建物もあり、少々浮世離れした感じがします。


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そんな中、僕がひそかに気にしていたある商店にやってきました。

 

それが、こちらの雑貨店。googlemapでは「阿婆雜貨店」で探すことができます。


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店内は、昔懐かしい駄菓子などが雑然と並べられています。

 

この店では、今年91歳になるお婆さんが今も店番をしています。以前もこのお店を訪れたことがあり、その際もお婆さんとお話しさせていただきました。

 

その後何度か、お店が閉まっていて、お婆さんが体調でも悪化されたかと心配していましたが、今回、久々にお合いできてホッとしました。


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お婆さんは、日本語が話せます。16歳までは日本が統治していましたから、若い頃には日本語が公式言語として学んでいたわけですね。

 

僕が日本人とわかると、お婆さんはラジオを止め、ラジカセで軍歌を流し始めました。

 

ここだけ切り取ると、お婆さんが軍国少女のやうに見えてしまうかもしれません。でも、それは多分、違うんです。お婆さんが多感な十代前半、台湾を含めた日本はまさに戦時中。この老街がある金瓜石地区からも、若い男性が次々と兵隊に出ていったそうです。

 

その頃流れていたのは、大部分が軍歌。つまり、お婆さんが懐かしんでいる軍歌は、当時の流行歌だった訳です。

 

そこには、日本の一部の人が抱いているのとは違った、軍歌に対する思い入れがあるのだと、初めて思いが至りました。

 

こちらのお店は以前、2階が貸本屋さんでした。お婆さんが月に何回か台北まで本を仕入れに行き、地元の人々がここで本を借りたのだそうです。

 

これまでに、新聞やテレビも取材に来たことあるそうで、台湾の旅行ガイドにも載ったことがあるそうです(今回は現物を見せて頂きました)。

 

お婆さんが若かりし頃、ここには鉱夫をはじめたくさんの人々が暮らしていましたが、鉱山の斜陽化、閉山とともに人はどんどん減り、今では僅かな観光客が昔を懐かしみに来るだけの場所になりました。

 

お婆さんの目の前を過ぎていった長い歴史を想像すると、それは台湾の戦中史・戦後史そのもののように思えてきました。

 

次回来るときは、もっと貸本屋さんの話も詳しく聞こうと思います。お土産は、お店で売っていたラムネ。自宅で一本飲んでみたら、昔の飲み物の甘さが口の中に広がりました。


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【店舗情報】

「阿婆雜貨店」

住所:新北市瑞芳區祈堂路157號

営業時間:不明

 

老街から見上げる周囲の山々。祈堂老街に来ると、いつも曇りか雨なんですよね。いつか、晴れた老街に出会える日は来るのでしょうか?!

 

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再会を果たしホッとした僕は、そこから階段を上がり、老街でも評判の高いカフェにやってきました。

 

かなりの古さを感じさせるこちらの建物。中は素敵なカフェになっています。


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お店の名前は「散散步咖啡民宿」。なんと、民宿とカフェが併設されたお店なんです。実際に、カフェにいる間に、宿泊のお客さんがチェックインをしに来ていました。


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もともと老房子をリノベしたお店ですが、店内の雰囲気が「古いのに快適」なんです。細部まで考えられたつくりで、訪れた人が気持ちよくレトロに浸れるようになっています。


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さあ、コーヒーをいただきましょう。少しだけアイスコーヒーも作ってくれて、異なるフレーバーを楽しめます。


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【店舗情報】

「散散步咖啡民宿」

住所:新北市瑞芳區祈堂路172號

営業時間:13:30~18:30(金土日のみ)

 

現在、老街では、数軒のカフェや民宿が営業しています。産業がなくなってしまった今、この街が生きていく方法は観光しかありません。

 

九份のすぐ近くに位置しているのですが、派手なスポットや収容能力が大きい店などがなく、世間からはかなり無視されている感じがします。

 

黄金博物館のすぐ裏手にあり、アクセスは悪くありません。何なら、九份をスルーして、黄金博物館と祈堂老街だけ訪れても、十分面白いと思います。

 

コロナが落ち着いて、日本のみなさんが台湾に来られるようになったら、どうか九份のついでで構わないので、金瓜石の祈堂老街へも遊びにいらしてください。