のぶもん台湾さんぽ

台湾のあちこちに出かけたときの旅日記をつらつらと書いています。マイナーな街の紹介が結構多いです。

【緊急レポート】今、九份はどうなっている?

こんにちは、のぶもんです。

 

実は先週末の土曜日に、九份に行ってきました。

 

最近、九份に全然人がいないという情報がネットに複数上げられていて、そんなにも状況が変わってしまうものなのか気になり、965番のバスに乗っていきました。

 

バスはかなり空いていました。西門から乗る人はなく、北門から数人の観光客が乗ってきただけ。土曜の夕方のバスとしては異例の少なさです。

 

約50分で九份老街のバス停に到着。早速、バス停前の展望台に行きます。

 

かろうじて雨は降っておらず、九份から海の方向を眺める夜景が楽しめました。


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では、街の様子はどうなっているのか?こちらは、九份老街の入口にあたる場所。このセブンイレブンを利用した人も多いと思いますが、人通りが極端に少ないです。プチ渋滞になる道路も車が少なく、スムーズに通行できます。


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老街に入ってみました。到着した時間は6時過ぎ。もともと九份の店は、6時くらいになると閉まり始めるので、シャッターが降りた店があるのはまだ理解できるのですが、とにかく人が少ないです。

 

この時間帯は、有名な夜景スポットを目指してたくさんの観光客でごった返し、なかなか前に進めないのですが、この日はスムーズに歩けました。

 

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ジブリ風の幻想的な夜景が楽しめる有名な坂です。ここは、前に進めないくらい人であふれるのですが、この日は、すでに店じまいして真っ暗な部分すらありました。これはこれで、幻想的な雰囲気なのですが、さすがに寂しいです。


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最近では、有名なお茶屋さん「阿妹茶樓」が一番きれいに撮れるポイントとして有名な場所。

 

ですが、ここには一人もいませんでした。阿妹茶樓の向かいのお茶屋さん(ここも阿妹茶樓をきれいに撮れるスポットとして有名)は、なんとお休みでした。


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なぜこんなに寂しい状況になってしまったのか。

 

それは、九份が台湾の中でも飛び抜けて外国人観光客の比率が高い「インバウンド型」観光地だからです。

 

もともと九份は、映画「悲情城市」の舞台として話題になり、それ以来台湾人が訪れるようになったのが、観光地としての始まりです。

 

その後、日本の宮崎駿監督のアニメ「千と千尋の神隠し」のモデルとも噂されたこともあり、日本人の間で大ブームとなります。

 

それ以来、台湾を代表する観光地としてすっかり定着しましたが、小さな老街にあまりにも多くの外国人観光客(当初は主に日本人)が訪れ、台湾人は逆にあまり九份に行かなくなってしまいました。

 

僕の台湾人の友人も「日本人の友達を案内するときくらいしか行かない」という人がほとんどです。

 

ですから、台湾が外国人の流入をストップすると、まっ先に打撃を受けたのが九份、というわけなんです。

 

では、九份は息絶えてしまったのか?実は、細々とですがこの町は生きていました。では誰が訪れるのか?

 

それは、最近九份がご無沙汰だった台湾人です。

 

老街のお店の多くは、営業時間を短縮したり、定休日を増やしたりしつつ、営業を続けています。

 

こちらは、魚丸湯が有名な「魚丸伯好」。店内にはぼちぼちお客さんがいます。空いているので、待たずにゆっくり食事ができます。


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はい、魚丸湯が出てきました。魚丸(魚肉のだんご)が結構たくさん入っています。これで30元。あっさりした味で、誰でも安心して食べられます。


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こちらは、肉圓のお店。やはり空いているのですが、それでもちらほらお客さんが入ってきます。


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こちらが、看板商品の肉圓(50元)。見た目はちょっと・・・てすが、ぷるんぷるんの皮と中の餡(挽き肉などが入っている)で、味もなかなか良かったですよ。


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台湾では、夕方にゴミ収集車が来ることが多いのですが、なんと老街にも収集車はやってきます。ゴミがそれなりには集まっているので、やはりある程度はお客さんが来ているようです。


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こちらは、草仔粿というお餅とまんじゅうの中間みたいな食べ物です。中の具材が甘いのと甘くないのがあるので、アンコが苦手な人でも楽しめます。


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こちらで買った草仔粿たち。自宅に帰って、ゆっくりいただきました。


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まだまだ別のお店に行きます。こちらは、「頼阿婆」という芋圓のお店。


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50元で、芋圓がたっぷり楽しめます。以前も食べたことがありますが、その時よりも具が多い気が(^_^;)


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台湾人の間でも、九份に人がいないというニュースはかなり広まっています。中には、「そんなに空いているなら、久しぶりに行ってみようか」と思った人もいるのではないでしょうか。

 

聞こえてくるのは、中国語だけ。外国旅行の高揚感ではなく、近所の馴染みの懐かしい風景を見に来た、という気楽な雰囲気。

 

「ああ、台湾の老街ってもともと、こんなふうにのんびりしてるよね」と思わせてくれる、和やかな空気が街を包んでいます。

 

阿妹茶樓は健在。空いていますが、頑張って、いつもと同じ風景を提供してくれます。

 

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このワンコ。いつも阿妹茶樓の下の広場にいる、ちょっと有名な犬だそうです。犬もなんとなく、手持ち無沙汰かな?!


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もちろん、九份の観光業者さんたちの状況はかなり厳しいと思います。この地に愛着がない店は、さっさと撤退するかもしれません。

 

でも、あまり「これまで」に拘らない台湾人のこと。きっと、新しいお店がこの地での商売にトライすることでしょう。

 

もしかしたら今は、インバウンド依存度が極めて高い九份が、これからのあり方を再考するタイミングなのかもしれません。

 

ここ数年は、あふれる観光客をさばくことにばかり追われていたでしょうから、コロナ後の九份像をじっくり作っていってほしいですね。

 

その間は、在住日本人の出番ですね。普段は敬遠していた九份も、今ならじっくり味わえる。僕たちも、さんざんお世話になってきた九份についてもっと楽しみ、学んで行けるといいなと思いました。

 

僕もまた、日中にも九份に行ってみようと思います。